山形の『住』を守るヒーロー! 株式会社太平堂不動産 武田さん
今回は、株式会社太平堂不動産の武田さんにお話をお聞きしました!
「土地を・家を買う人は、山形で暮らしていくと決心した人。その人たちの力になりたい。応援したい。」と話す武田さん。
山形ならではの課題に葛藤しながらも、人々の生活を守るヒーローの姿が見えてきました...!
―資料もご用意いただきありがとうございます。早速インタビューさせていただきます。よろしくお願いいたします。
はい、お願いします。この資料を説明しながらお話ししますね。
私たちは株式会社太平堂不動産ができたのは1970年の2月ということで、今55年目ですね。55期目を迎えております。会社作ったのは私の祖父で私が3代目です。
元々、菓子問屋をやって転業したのが、1970年に不動産業を始め55年目になっております。今は従業員数が25名で20代から60後半ぐらいの方まで、 幅広く会社の中にいますし、現場で物件回って、色々修繕したりとか仕事内容も様々です。事業内容としてはですね、もう不動産に関わることは全てやっています!
賃貸アパート、マンションの斡旋とか、管理だけするような会社さんや不動産の売買だけする会社さんとか様々ありますが、我々は全てやっています。
街の不動産屋さんみたいな、2、3人だけでやっているような会社さんもおられるかもしれないんですけど、うちの会社は全てワンストップでやることを目標に、売買から賃貸から、大家業って言って自分たちで物件を所有して賃貸で借りてもらったりとか、あとは相続の支援事業とかありとあらゆることをやっています。
―なるほど。太平堂不動産さんでは総合不動産企業という言葉を使っていますが、先ほどおっしゃっていたように不動産に関わることを全て行う会社のことを総合不動産企業っていうのでしょうか?
そうですね。総合不動産企業っていう用語もあるんですが、うちの会社では少し違うような気がします。
よくあるのかもしれないんですけど、うちの会長、私の父が「“不動産屋”って言うのがすごく嫌いだ。うちは不動産屋じゃなくて、不動産企業だ」ってことを言っていまして。私もよく不動産屋って言っていたんですけど。 小さい頃からすごく言われていたので、私も強く意識しています。「ありとあらゆること、不動産について何か言われたら、全部うちで答えまで持ってきますよ」という気持ちを持っています。
特徴があるとすれば、宅地分譲ですかね。あんまり聞いたことないかもしれないんですけど、住宅用地の提供ですね。新しいお家建てる、土地の供給を年間80から100件ぐらいやらせていただいています。
田んぼだったところを平して、新築の住宅用地として提供するということを長くやっています。ですけど、山形、山辺、新庄から米沢までは色々やってくってことで、いろんなラインナップをご用意しています。あと、宮城も場合によってはご用意します。
この宅地分譲が多分県内では今1番あります。
あとは、先ほど言った自社での大家業、不動産賃貸業やっていますって話した通り、
山形駅西にあるビルや清住町って言ってでん六の近くにヤマザワがあるんですけど、その隣にあるマンションとか、そういうのは実は私たちが持っていて、保険の窓口さんなどに借りていただいています。そういう物件が山形に100か所ぐらいあり、こういう点は独自の事業モデルかなと感じています。やっぱり、数カ所持っている不動産会社っていうのはあるんですけど、これだけ多く持っている会社さんはなかなかいらっしゃらないと思います。
そして、不動産会社なので、色々物件を持っているオーナーさんやアパート持っていたり、マンション持っていたりするオーナーさんから物件をお預かりし、それをネットに載せて募集したりもしています。さっき言ったように、我々も大家なのでオーナーさんの気持ちがわるわけですよね。私たちが自分たちの物件も募集して決めているので、オーナーさんからお預かりした物件についても同じクオリティで、しっかりとサポートしています。
―お客様の気持ちがわかるからこそ信頼に繋がるんですね。
そうですね。実は、山形県内のアパートとかマンションの入居率の平均データを見ると空室率が22%なんです。それに対して、うちで持っている物件とお預かりしている物件の空室率は2.7%です。なんでこの数字が実現できるかっていうと、さっきの話に戻りますが、私たち自身が大家なので、 どういう風な物件をにしたら決まるかとか、どういう見せ方をしたら若い方が引きつけられるか、みたいなのがわかっているんですよ。それが高い入居率に繋がっています。入居率が高いので、去年(2022)のうちで管理している物件の数は668部屋だったんですけど、今、毎月20部屋ずつぐらい増えていまして、まもなく1000部屋ぐらいの管理、来年の8月末までには1200部屋まで伸ばすということを目指しています。本当にいろんな街中のオーナーさんから物件の管理を委託しているんいうこともやっている感じです。
―太平道不動産においての総合不動産業って、どういうものなのかなっていうのをお聞きしたいです。
はい。なかなか難しい質問すけど、そうなんですよね。売買、賃貸、管理とか、色々あると思うんですけど、それはもう当然であって。うちはその、不動産を軸に不動産に関わること、例えば、リフォームとか、相続もそうですし。不動産とちょっとでも接する部分は、全てうちの会社で取り扱いができるっていうことを目指しています。
うちの会社だと、相続サポートセンターっていうのを立ち上げて。セミナーなんかも結構開催していたりしますね。私が講師になって、不動産に限らず相続に関わるセミナーをビッグウィングなどで開催したりしています。
一見、不動産にあんまり関連しないように見えますが、やっぱり相続と不動産って、実は切っても切り離せないことですよ。不動産売ってくださいとか買ってくださいの手前の部分である思っていて、不動産を売りたい前に何かが起きているわけですよ。
お父さんが亡くなって空き家になった家があるっていうことが発生して、初めて売りたいっていうフェーズに来るので、その窓口になるように。なんかこう不動産を考えるきっかけの部分もうちは全部抑えたい。と思っています。
そういう意味では、私たちの会社は不動産関連のことをやっていますけど、うちのパーパスである「山形を継ぐ」というものを掲げ、なんでうちの会社ってあるんだろうっていう問いに山形を継ぐためにあります!ということが、私たちの意義存在になると考えています。
じゃあ、山形を継ぐためにある私たち太平道不動産はどこに向かおう?と考えた結果、将来的に叶えたい世界は大切な人に継ぎたい場所を作っていくっていうことになり、これが私たちのビジョンです。じゃあパーパスとビジョンの間に、どういう方向性で進んでいけばこのビジョンに到達するかいうことがミッションで「街の“住”を次のステージへ」としています。あの衣食住の“住”です。ここであえて「街の不動産を次のステージへ」と謳っていないんですよ。街の“住”と少し広く捉えています。不動産もあるし、もしかしたらアパートの建築とか家具屋さんとか、食器屋さんとか。とにかく衣食住の“住”の部分を大きく捉えて、これからうちの会社で支援していくというか、力になってくということですね。あくまで不動産は軸にはなるけど、それだけをやろうとは思っていません。それがこの辺の表現にあると思います。
―ありがとうございます。次の質問です。DXの導入を進めているとお聞きしました。導入しようと思ったきっかけなどがあればお話聞きたいです。
やっぱりスマホでなんでも完結する時代で生きていますので、仕事も当然そうあった方がいいよなって思ったんですよね。正直私の仕事って不動産の現地を見る以外は、全部スマホでできるように、今はなったんですよ。営業日報も全部上がってくるし、お客さんと当然チャットやショートメールなどでもやり取りできるし。
物件の情報なんかもスマホに全部入っていますので、判断もできるわけですよね。担当者から「こういう土地買いたいんですけど…」って上がってきたらスマホの中で収支見て、「あ、これだったらいいんじゃない」とかすぐできるんです。最悪もう不動産もgoogleマップで見られる時代なので、行かなくても全てジャッジができる。なら、仕事もスマホで見られる方がいいよねって普通に思ったんですよね。
去年私が入った時っていうのは、あの、本当にエクセルでデータを管理していで、営業日報もない。なので、みんなが何をしているかもわからない。情報共有が全くされてない。 でも、会社としてはある程度知名度があるんで、毎日いろんな担当者にいろんな話が来るんですよ、お客さんから。ただ、それが私まで届かない。「あ、これじゃダメだよね。 」と思い、どの担当者に話が来ても、会社っていう中に集約されて、常にみんなが見られる状況に普通にした方がいいよね。って感じたことを形にしました。
―実際に導入した前と後でどう変わりましたか。
会社のスピード感が生まれました。やっぱりその担当者にこういう売却情報入りましたっていうのがリアルタイムで私に届くようになっているんです。出張してようがどこにいようが。お客様からしたら、どの会社に相談しても基本同じなわけですよ。「売りたいです。」「あ、じゃあいくらなら買えます」っていう話にしかならないと思うんですけど、そのスピードをいかに早くするかに価値を見出せると思います。
「売りたいです」って依頼して、「じゃあ査定書1週間待ってください、郵送で送ります」っていうのが多分普通の会社のスピード感。 うちは2日以内に査定書をお送りすることができます。そうすると、先に手元に届くのはうちの査定書なわけです。それが必ずしもそれでいいかどうかは別として、有利になると思います。
スピードのきっかけになった スピードが会社の付加価値になると考えています。
―なるほど。そういう利点もあるんです。そうですね。実際に変わってみて、従業員の皆さんの反応ってどうでしたか。
思った以上に皆さん抵抗感はなかったなあ。働いている人も、元々気づいているんですよね。「もっとこうだったらいいのに」って。でも思ってはいるけど、 忙しいし、今までやったことないことを会社に提案しないといけないわけじゃないですか。それってめんどくさいし、何もやんなくても給料もらえるからっていうことがあるので、結局やっぱそこはあのマネジメント側っていうか経営者が導いてあげないといけない。そういうことを1個ずつ形にしていきました。
「今話したいけど、外出中で話せない。じゃあ、夕方になってから話す」じゃなくて、 もうチャットででもいいわけですよ。それ見れば、なんらかのリアクションができて、かつ社内でコミュニケーションも円滑になって、社内の雰囲気も明るくなって。結果としてどうなっているかっていうと、分析はすごく伸びてい、さっきの宅地の分譲の話をすると、私が会社に入った時は、70個仕入れて60個売る。 だったのが、今期については87個仕入れて87個売るぐらいの数字の伸びです。個数も毎月ずっと増えています。
―こうやって、数字で説明を受けるとやっぱり説得力が違いますし、信頼感というかお任せしたいなと思えますね。
そうなんですよ。やっぱり数字で見ないと社長が「うちの会社伸びているんです」って言ったとこで、「へぇー」って感じじゃない。やっぱりそこはすごく意識しています。元々私が銀行員だったというのもあって、数字でしか判断しないわけですよ。「うちの会社いい会社なんです」って言われても、銀行員的には「じゃあ数字どうなの?」ってしかなりません。 逆の立場になった時も、とにかく数字ってわかりやすいじゃないですか。こうやって見ると「こんなに入居率高いんだ!」って思っていただいて、信頼に繋げるために、数として可視化していますね。
―ありがとうございます。では、次の質問に移ります。山形でまだ誰もやってないこと、山形だからこそ挑戦したいことはありますか?
やっぱり他県に行くと、「山形は人口も減って雪も多くて、そんなことで不動産やって大丈夫なの?」って言われるんですけけど。でも、よっぽど消滅するような村でもない限り、不動産会社って絶対必要だと思っていまして。 不動産会社は一社もない生活圏ってあり得ないと思うんですよね。不動産は生活にすごく密接しているので。そういう中で、山形市っていうのは少なくとも、まだまだ伸びると思います。移住してこられる方も多いですし、むしろ需要が高まってくると思います。
私はまだまだ先行きが暗いっていう見方は全くしていません。私が住んでいる山辺町もそうなんですけど。山形市からそんな遠くないベッドタウン的な感じで、人口も多少減っていますけど、 減り方としてはかなり少ないところです。
しかし、他の過疎地域はなくなるかもなぁと…。私も昔、そこにすごく葛藤がありました。「県を代表する不動産会社として、山形の活性化はどうします?ああいう過疎地域はどうすればいいんですか?」って聞かれることがあるんですけど、「無理だ」と思っていたんですけど、最近出会った、教授の方と議論した時に、『人が減って残んない所は「その価値を後世に残していきたいと」今の生きている人たちが思わないんだから、それは無くなってしかるべきだ』と言っていたんです。なんかちょっと振り切った考えだったのですが、私はそれにすごく納得しました。やっぱりコンパクトシティっていうのは間違いなく進んで、その中で、シティとして残らない町とか村はどうしても出てくると思って。それはそれで仕方ない。やっぱり人が集まってくる山形市を中心とした街の利便性をもっと高めていかないといけないと思っています。そういう意味では、なんていうかな、 山形市民のための山形市でもあるんですけど、山形県のいろんなところの生活利便性がこれからますます厳しくなってくる人たちも多分引き寄せられてくるところが山形市だと思っています。
コンパクトシティーって言っても、山形駅の徒歩圏内だけに人が集まれるわけじゃない。例えば隣の天童市や上山市だったり、山辺町だったり、ちょっとずつ円周上に広がってはいくと思っています。例えば山形市の土地が1個買ったら2000万だったとします。でも、全ての人が2000万の土地を買って家を建てられるわけじゃない。そうなった時に、山辺町だったら7、800万みたいに、 それぞれの生活のスタイルに合わせていろんなメニューがあるべきだと思います。正直限界があると思うので、過疎地域や住みにくい場所は人がいなくなってもしょうがないかなと。せめてコンパクトシティーの中でも、その人の希望に沿うようにいろんな選択肢を増やしていきたいと思っています。
―どんな人と一緒に働きたいかっていうのをお話聞きたいです。
お客さんのニーズ、お客さんに求められたことから逃げない人です。不動産っていうのは、扱う金額も数百円、数千の世界ではないので。ものすごく責任のある仕事だと思っています。やっぱりお客さんによって内容も違うし、売りたいって言っても同じ不動産って1つもないわけですから、 買いたいって言ってもそうですし、世の中に変えの利かないものを取り扱っているので。
求められたことに対してごまかしたりとか、調査や回答を不十分なまま返しちゃったりすると、すごく責任問題にもなるし、がっかりさせちゃう。扱うものの大きさにちゃんと
責任感を持って仕事ができる人ってのが1番ですね。
あとは、明るくて素直な人。 ありきたりですけど、ほんとにそう思いますね。とにかく素直だったらいくらでも仕事は覚えられるようになると思います。
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